私の弟は今何をしているのでしょうか…
「ここですか…彼がいるのは…」
一人の青年が探していたであろう建物を見つけ、そう呟いた。
一方、その建物内では…。
「何か寒気がする…」
「大丈夫?風邪かな…」
「そうじゃねぇ…嫌な予感がするって言いたいんだ」
「珍しいね…ギガ君がそんなこと言うなんて…」
「この気配…何処かで覚えがあるんだよな…」
頭を抱えてギガデリックは悩みだした。
そんなギガデリックを見ていたジェノサイドがポンと手のひらを叩く。
「まさかのギガ君のお兄さん〜とか?」
ジェノサイドが笑いながらそう言った。
ギガデリックがハッと何かを思い出した。
お兄さん…?
…兄貴…?
「マジかよ!ヤバイぞ!早く隠れねぇと!!」
大急ぎで部屋を出ていこうとするギガデリック。
しかし、遅かったようだ。
「フフ…お久しぶりです…ギガデリック」
「兄貴…」
ギガデリックの兄だろうと思わせる青年が前に立っていた。
少しの間沈黙が続いていた瞬間。
「探したんですよ〜!」
「うわっ…!?抱きつくんじゃねぇ!!」
「元気にしていたようで何よりです!安心しました」
「離れろぉー!!!」
「凄い…あのギガ君が逆らってないよ…」
「あの人がギガ君のお兄さんかな…?かっこいい人だね〜!」
ジェノサイドとキラーが話していると、テラデリックが二人に気づき、頭を下げた。
「私はテラデリックと申します…ギガデリックがお世話になってます…」
「はじめまして…。僕はキラーって言います。こっちは僕の兄のジェノサイドです…」
「はじめまして…。テラデリック君…長いからテラ君て呼んでいい?」
「ちょっと兄さん!初対面なのに…」
「いえ…構いませんよ。私の事は呼びやすいように呼んで下さい」
ニコッとテラデリックは二人に微笑んだ。
(この人がギガ君のお兄さんか…凄いいい人だ…)
(ギガ君のお兄さんって聞いたらギガ君よりもっと悪そうなイメージだったけど全然違うな…)
二人はそう思いながら苦笑いをした。
「…で、こんな所まで何の用だよ…兄貴」
「あぁ…その事なんですが未来に帰りましょう?」
「はぁ!?何でだよ!」
「貴方の罪滅ぼしの為にです…何をしたかは自分が一番知っているでしょう?」
「だけど帰りたくねぇ…逃げてきた意味ねぇじゃん」
「意味なんて必要ないんです。とにかく未来に帰りますよ…」
そう言ってテラデリックはギガデリックの腕を掴み連れていこうとした。
しかし、相手はそんなに簡単に連れて帰れる相手ではない。
「オレが素直に帰ると思ってんのか?兄貴」
「ハァ…やっぱりそう来ますか…仕方ないですね」
テラデリックはギガデリックの腕を放し、窓から飛び降りて外に出た。
「さぁ…降りて来なさい。ギガデリック…力ずくで連れて帰ってあげましょう」
「そうこねぇとな…前のかりをお返しするぜ!」
「望むところです…掛かってきなさい!」
ギガデリックがテラデリックに飛び掛かろうとした時だった。
「待って!!」
突然ジェノサイドが間に入り二人を止めに入った。
「今戦って貰ったら凄い都合悪いんだ…ギガ君ならわかるよね?」
「…あっ!そうか!!戦ったら不味いな…」
「何が不味いんですか?」
それは…と、キラーに聞こえないようにテラデリックに事情を説明した。
理由は簡単だ。
二人が戦いだしてキラーの目に血が映った瞬間、悪夢が再来するのである。
キラーは血を見た瞬間、発狂してしまい、敵味方問わず裂き殺すようになってしまうのだ。
今二人が争えば、たちまち恐ろしい出来事が押し寄せてくるのである。
「そうなんですか…知りませんでした…なら力ずくは無理ですね…」
「諦めろよ兄貴…オレは帰んねぇからな!」
「それならギガデリックが未来に帰ると言うまで一緒にいます…」
「は?」
テラデリックの言葉に疑問の声をギガデリックは漏らした。
「あっ!でも、心配しないで下さい…家事とかも全般出来ますから」
「つまりは、一緒に住むって事?」
「はい…迷惑なら外から見張ってます」
「怖ぇよ!!」
すかさずつっこみを入れるギガデリック。
「別に迷惑じゃないし…いいよね?キラー」
「うん。僕は全然大丈夫だけど…他の人達はどうなんだろう?」
「うーん。兄さんは大丈夫だろうし…ホリックさんもヴィルヘルムさんもAさんも大丈夫なんじゃない?」
「そうだね…別に一人増えても問題ないしね…」
ジェノサイドとキラーの二人が納得したように向き合い頷いた。
「…と、言うわけなので一緒にいても大丈夫だと思います…」
「ホントですか!それはよかった!」
テラデリックはありがとうございますと言って頭を下げた。
「マジかよ…」
「貴方が帰ると言うまでいますから…」
ギガデリックにニコッと笑いかけるテラデリック。
「ハァ…これからまたストレスが…」
「何か?」
「いや。何でも…」
これから大変なことになりそうである。